宮古島の最東端にある東平安名崎(ひがしへんなざき)。全国で16基しかない「のぼれる灯台」の一つがあるこの岬は、島屈指の絶景スポットです。
しかしそこには、それはそれは悲しくて胸糞悪い物語がありました。
不憫すぎるマムヤの物語
昔むかし、宮古島の東平安名崎に、マムヤという絶世の美女がいました。マムヤは、その美しすぎる美貌のせいで、数多の男たちに求婚されていましたが、ひっそりと暮らしたいと願い、岬の洞窟に隠れて得意の機織りをしていました。
ところが、魚釣りをしていた野城の按司(←琉球の旧官名)である崎山の坊に見つかってしまいます。一目でその美貌の虜になった崎山の坊は、マムヤとの結婚を賭けて勝負を言い渡しました。
東平安名崎から西平安名崎の村まで、崎山の坊は珊瑚の石垣を積み、マムヤは芭蕉の糸を紡いで行く、という胡散臭い勝負です。(しかしワードは沖縄っぽいw)
家来や百姓を総動員して石を積み上げた崎山の坊が当然勝利します。そして、とうとうマムヤは崎山の坊の妻になってしまいました。
糞尿の匂いのする妻に負けたマムヤ
絶世の美女を娶り、嬉しくてたまらない卑怯な崎山の坊は、いろんな所へマムヤを連れ回していました。
そんな中、ある日「おじさん」に出会います。崎山の坊はおじさんにのろけてこう言います。
「私の妻は糞尿の匂いがするが、マムヤはニフニリ(香草)の芳しい香りがする!」
(ふ、ふ、ふ、ふんにょう!!)
(つ、つ、つ、妻!!)
ここで崎山の坊には妻子がいることが判明します。しかも糞尿の匂いをぷんぷん漂わせた妻が。
しかし、おじさんはあろう事か崎山の坊に言い返します。
「今はニフニリの香りがするマムヤがいいかもしれんが、糞尿の匂いがしても、子どもがいる妻の方がいいと思うようになるじゃろう」(なぜか岡山弁)
崎山の坊はこの言葉に従い、マムヤを見捨てることにしました。(え?)
崎山の坊に妻子がいること、そして妻子を選んだことを知ったマムヤは、悲しみのあまり平安名崎の断崖絶壁から身を投げてしまいました。(ええええっ???)
なぜなぜマムヤ
「糞尿」という、パワーワードのせいで、物語の本質がわからなくなってきましたが、モヤモヤを整理してみます。
仕方なく結婚したにも関わらず、崎山の坊が妻子の元へ帰ったからといって身を投げたのはなぜ?
崎山の坊は妻を捨ててマムヤと結婚したのに、おじさんの一言ですぐに心変わりしたのはなぜ?
このご時世なら考えられないけど、崎山の坊が何のおとがめもないのはなぜ?
崎山の妻は夫に「糞尿くさい」とまで言われているのに、若い女にうつつを抜かした夫を許したのはなぜ?
何だかモヤモヤは残ったままですが、ここを訪れた人たちは、胸糞が悪いまま、美しい岬を後にすることになるのでしたーー。
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